最近の音楽 - Herbert / Nozinja / Cobblestone Jazz / Fumiya Tanaka / Antigone

音楽を聴きましょう。

Herbert / The Shakes

Matthew Herbert が天才であることはもはや異論のないことであろうと思いますが、近年の実験性と批評性の高い作品群(ONE PIG など)から方向性を変えて、昨年は Herbert 名義で「Parts」シリーズを高いクオリティで復活させ、「Herbert がハウス/ダンスの領域に戻ってきた」という驚きを届けてくれました。そしてついに2015年、Herbert 名義としては『Around The House』『Bodily Functions』以来となるアルバム『The Shakes』をリリース!

発売までに毎週1本ずつ収録曲のPVをYouTubeにアップしていくという前代未聞の取り組みも去ることながら、とにかく全曲、圧倒的な素晴らしさに平伏す他ありません。前編にわたってボーカルをフィーチャーし、キャッチーなハウス/ポップミュージックとして成立しつつ、ドロッとした批評性を忍び込ませる手腕はやはり Herbert だなあと思わずにはいられません。タイトルからそのまんまな「Battle」で荘厳に幕を開け、真夜中の享楽を描く「Middle」、UKの抗議デモの音声を使用したという「Strong」……と、強烈なインパクトで楽曲が進行していき、聴いているだけでノックアウトされそうです。そこから「Smart」「Stop」までの最初の5曲は、どの曲も年に1曲あるかどうかというレベルではないでしょうか。ちなみに「Stop」のPVがめちゃくちゃ良いです。

6曲目「Ones」以降はアンビエントっぽさをぐっと増してディープに。静かに眠りについていくかのような中で、ラストトラック「Peak」でいきなり覚醒して終わります。「Peak」はなんと LFO こと Mark Bell が参加予定だったそうで、制作中に彼が亡くなってしまったのが悔やまれます。

日本盤CDは歌詞対訳も三田格先生の解説もリミックス曲のDLカードもついてくるのでお得。

ザ・シェイクス

ザ・シェイクス

Amazon

https://itunes.apple.com/jp/album/shakes-bonus-track-version/id975830336?uo=4&at=10lc52

Matthew Herbert | British composer and producer Matthew Herbert
Herbert - The Shakes - Accidental - Bleep
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interview with Herbert 音楽は世界を変える  | ハーバート、インタヴュー | ele-king

Nozinja / Nozinja Lodge

「シャンガーン・エレクトロ」というジャンルの先駆者である Nozinja のデビューアルバムです! なんと<Warp>から。

南アフリカからやってきたスピード感あふれまくり&未来感バツグンのアフロビート・エレクトロニック。シャンガーン・ヴォーカリストたちの声と、これまでに聴いたことのない音楽が混じりあう未体験ゾーンです。世界にはまだこんなにもすごい音楽が存在する! 最高!

Nozinja Lodge

Nozinja Lodge

  • Nozinja
  • エレクトロニック
  • ¥1528

http://nozinja-lodge.com/
Nozinja - Nozinja Lodge - Warp - Bleep
http://jp.residentadvisor.net/news.aspx?id=29019

Cobblestone Jazz / Northern Lights EP

Mathew Jonson / Danuel Tate / Tyger Dhula の3人から成るユニット Cobblestone Jazz の新作。

ユニット名通りのジャズの雰囲気を組み込んだミニマル・テックハウス。音の空間処理が完璧。2曲とも10分を超えますが、まったく気にならないどころか、永遠に聴き続けられるのではないかと思うほどの美しい音楽です。抑制された音の粒と波が徐々に変化して世界を包む。真夜中の暗い地下のフロアでも、明け方の野外でも映えそうです。

Northern Lights - EP

Northern Lights - EP

  • コブルストーン・ジャズ
  • テクノ
  • ¥306

http://jp.residentadvisor.net/review-view.aspx?id=17174

Fumiya Tanaka / UFO Training EP

Cabanneが主宰するフランスのレーベル<Minibar>から、ベルリン在住の田中フミヤの新作がリリース。

最近の田中フミヤらしいモノトーンなミニマル・ハウス。大変クールで良いですね。これだけ音数が少ないのになんでこんなに踊れる音が作れるんだろうすごすぎる。自身の最近のDJの雰囲気をそのまま曲に落とし込んだかのような良いEPです。ところでなんなんだろうこのタイトル。またブログやってくれないかなあ(2012年の Sorry Cucumber のタイトル解説は必読です)。

UFO Training - EP

UFO Training - EP

  • 田中 フミヤ
  • ハウス
  • ¥458

Antigone / Cantor Dust

昨年リリースされた「The Day The Sky Fell In EP」も素晴らしかった(最近デジタルリリースされましためでたい)フランスの Antigone のアルバムが<Token>から。

硬い! ハード! ミニマル! ディープ! でもちょっとキレイな上モノ入り! という感じでいろんなテクノの良いとこどりみたいな反則っぽさ。3時くらいにかかってガンガン踊るみたいなのが良さそうですね。

Cantor Dust - EP

Cantor Dust - EP

  • Antigone
  • テクノ
  • ¥611