二宮ひかる『ダブルマリッジ』と、分からない「本当のこと」

Hikaru Ninomiya is back !!!!!!

ダブルマリッジ (芳文社コミックス)

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一番好きな漫画家は誰ですか、と聞かれたら、二宮ひかる、と答えることにしています。ですので、彼女の漫画作品については客観的に評することができません。言い訳終わり。

二宮ひかるが帰ってきた!!!!!!!

『ハネムーンサラダ』終了以降、それまでの社会人の物語から、学生の物語へとシフトしていた二宮ひかる女史。本作で久々に、かつての二宮節を感じ取れたように思います。

物語は「重婚」を認める法律が通ろうとしている、というニュースから始まります。不倫相手との重婚を考える男。ただ一緒にいたいだけの不倫相手。それを見て理解できないと感じる後輩。その後輩が思いを寄せる、夫から暴力を受けている女。そして、結婚したはずなのに孤独を感じる箱入りお嬢様の妻。取り巻く状況が変わってしまったが故に、関係を変化させざるを得なくなって、戸惑う人々。

不倫、DV、離婚、結婚……とまあキーワードを並べるとすごくドロドロしているように見えるのだけれど、それをカラッとした物語に落とし込んでしまうのが二宮ひかるの真骨頂ですね。何を考えているのか分からない不倫相手の女性の描き方が秀逸すぎです。なんでこの人の描く何を考えているのか分からない女性はこんなにも魅力的なんだろうか。

全8話でさらりと終えている辺りもお見事。終わり方は……少し意外でした。あるいはこれこそが、数年を経て辿り着いた『ハネムーンサラダ』への回答だったのでしょうか? それとも?

本当のことなんて分からない、と、二宮ひかるは漫画作品を通して何度も言い続けています。僕らは、本当のことも、相手のことも、何が大事なのかだって、分からなくて、怖いんだと。だからこそ、元に戻っただけに見えるラストが、希望に満ちあふれているように見えるのでしょう。きっと。

二宮ひかる「ダブルマリッジ」重婚OKの日本描く恋愛劇 - コミックナタリー