MVOT、tickles、Farhādī、Heem、いがらしみきお

ここのところ素晴らしいものをたくさん見聞きしたんだけど、しばらくブログが書けるような状態では無かったので、ざくっとまとめて書いておきます。

■ Moritz Von Ozwald Trio『Fetch』

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ついに出たよ! Moritz Von Oswald (Basic Channel) / Max Loderbauer (Sun Electric, NSI) / Vladislav Delay (aka Luomo) の3人からなるベルリン・アンダーグラウンドのスーパーグループ、Moritz Von Oswald Trioのサードアルバム! ミニマル・ダブ絵巻の魅力はそのままに、さらにグルーヴィーに進化&深化したこの音はもう完全に唯一無二でしょう。深海すぎて意味が分からないレベルです!

‎Moritz Von Oswald Trioの「Fetch」をApple Musicで

■ tickles『on an endless railway track』

on an endless railway track

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ロマンティック・エレクトロニカ・ポップ from 湘南! ここまでポップかつドリーミンな電子音楽を作れる日本人がいたなんて、と驚きまくりです。特に「liar」「braintrain」「pianoblack」が素晴らしい。ele-kingのインタビューを読んだら風貌が音の印象と全然違ってそれも面白いですね。

http://www.dommune.com/ele-king/features/interview/002385/
‎Ticklesの「On an Endless Railway Track (Bonus Track Version)」をApple Musicで

■ アスガル・ファルハーディー『別離』

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betsuri.com

すっかり見そびれていたので見ました! イラン映画でありながら、まるで日本映画を見ているのかと錯覚するほどに、離婚問題、介護問題、司法問題がリアルな形で絡み合うドロドロとしたフィルムです。それぞれの主張と正義が交錯しながら、最後にどのような審判が下るのか、どう転ぶかが予測しづらい絶妙な物語。何が正しいのか、何が間違っているのかが溶解して判別できなくなっていく様を楽しみましょう。

2012年4月7日より公開 『別離』予告編 - YouTube

■ 国立西洋美術館『ベルリン国立美術館展』

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http://www.berlin2012.jp/

みんな真珠の耳飾りばかり注目しないで、真珠の首飾りの方も見ようぜ! ということでフェルメール『真珠の首飾りの女』初来日。何年か前にベルリンで見てはいたのですが、今回のベルリン国立美術館展はそれ以外にもレンブラント派の『黄金の兜の男』やミケランジェロの素描を始め、かなり多くの作品が展示されるということで、これは見ないわけにはいかないだろうと行ってまいりました。素晴らしかった! 15世紀の宗教画や豊富な彫刻コレクションも去ることながら、やはりデ・ヘームの『果物、花、ワイングラスのある静物』が良かったですね(入り口にも使われていた上の写真の絵です)。画集で見るのとはまったく違う色の鮮やかさにほれぼれしました。作品数が多く、質の高い美術展なので、ぜひ行くことをオススメします。

「ベルリン国立美術館展 学べるヨーロッパ美術の400年」紹介映像 - YouTube

■ いがらしみきお『 I 』第2集

I【アイ】 (第2集) (IKKI COMIX)

I【アイ】 (第2集) (IKKI COMIX) | いがらし みきお |本 | 通販 | Amazon

2011年の「ベストコミック」に挙げさせていただいた本作の第2巻が刊行されたわけですが……いやあ、もう……壮絶としか言いようがないですね。警察に連行され、そのまま病院に送られてしまったイサオと別れ、雅彦は「岡島にんげん農場」で生活することに。疑似家族と疑似コミュニティによる粘つくような仮初めの幸せ故、逆説的に浮かび上がる「この世界はなんなのか」「神様はどこにいるのか」という問いが、狂おしいほど執拗に繰り返されます。幸せを得ても、幸せになれない。社会から弾かれた者たちが、そこで社会を作っても、それでも幸せになれない。人の中で生きること“そのもの”に幸せを感じられない……。そうやって絶望する雅彦の姿と、彼に「人の世の中には人の理屈しかない」「一人で生きねば、神様は見えなくなってしまう」と告げるイサオ。では、神様とは? その回答の一端がラストで明かされます。これは本当にすごい。どうしてこんなものが描けるんだ……。

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