最近の音楽 - Hiroshi Watanabe / Moderat / Fumiya Tanaka / Moodymann / agraph

日本人が多い!

Hiroshi Watanabe / MULTIVERSE

ついに出た! あの "Strings Of Life" の Derrick May の伝説的レーベル〈Transmat〉から、ヒロシワタナベがアルバムをリリース! ヒロワタさんといえば古くはビートマニアの人であったり Quadra 名義であったり、2000年代に入ってからはご存じ Kaito 名義でドイツ・ケルンの名門〈Kompakt〉から素晴らしいアルバムのリリースを重ねていたり(日本人で Kompakt からリリースしているのは彼ただ一人!)するDJ/アーティストなわけですが、ついに Transmat でまでリリース(当然、日本人で Transmat からリリースした人なんてこれまで一人もいない!)、しかも最初EPだけかと思ったらアルバムまで。やばすぎてゲロ吐きそう。

さすがにデリックの厳しい目をくぐり抜けただけあって、ヒロワタさん特有のメロディアスなテクノが、よりデトロイトに近づいてソウル増し増しといった塩梅に。1曲目 "Aperture Synthesis" の1音目からもう宇宙の彼方にぶっ飛ばされる圧倒的テクノ! 2014年末にデリックがDOMMUNEでDJをした際に1曲目にかけた曲がめちゃくちゃかっこよくて「あれはなんだ!?」ってなったら「あれは Hiroshi Watanabe が今度 Transmat から出す曲だよ」ってんでずっと待ってたよほんと……(そのときにかかったのは "The Leonids" でこれがまた最高)。

Story Teller

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  • Hiroshi Watanabe
  • エレクトロニック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

野田兄こと野田努さんの熱いライナーノーツと、本人の感動的なメッセージが書かれたブックレットが付いてくるCD版がオススメです。全曲+エクスクルーシブトラック1曲で構成された本人謹製DJライブミックスCDも付いてくるしね。

MULTIVERSE

MULTIVERSE

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https://itunes.apple.com/jp/album/multiverse/id1099825426
interview with Hiroshi Watanabe 音楽のエネルギー  | ヒロシ・ワタナベ、インタヴュー | ele-king
クラブシーンの現状に風穴を HIROSHI WATANABE×佐藤大 | CINRA

Moderat / III

Modeselektor + Apparat = Moderat の三部作最終章! ファースト収録の "A New Error" やそのタイミングで披露されたライブは良かったんだけど、前回のセカンドが個人的にはあまりハマらなかったので、今回も特に期待していなかったんです。が、出たので聴いてみたらめっちゃくちゃ良くてびっくりしました。

1曲目 "Eating Hooks" でディープな感じに始まって、2曲目 "Running" で一気に引き上げられて、力強いビートと美しいメロディー、そして幻惑的なボーカルでそのまま最後まで持っていかれます。先行シングルの "Reminder" なんかは、こんな曲、聴いたことねえ!というくらいの独創的なリズムで、とにかく衝撃的です。カンカンカンカンパーン、ってところ大好き。

ワールドツアーやってるんだけど、日本が予定に一切入ってないんだよなあ……来ないんだよなあ……悲しいなあ……。

[asin:B01BX3KKD4:detail]

‎Moderatの「III (Deluxe Edition)」をApple Musicで
https://www.wasabeat.jp/releases/254036-moderat-iii-deluxe-edition

Fumiya Tanaka / You Find The Key

田中フミヤのニューアルバムがドイツ・ベルリンの〈Perlon〉から! ベルリンを拠点に活動している我らがフミヤ兄貴ですが、ここ数年 Perlon を中心としてヨーロッパの各種レーベルからEPをリリースしていたものの、アルバムという意味では2008年の「Unknown 3」以来。

よりミニマル・ハウス・グルーヴという感じで、いかにも Perlon っぽい、タイトなビートとさりげなくもおしゃれなボイスサンプルやピアノが飛び交う現代田中ミニマル絵巻。ジャケもかっこいい。Perlon なのでデジタルリリースとかいうものは無いぞ。

[asin:B01CFXV0Y4:detail]

Moodymann / DJ-Kicks

ネットが普及し、soundcloud がこれだけ力を持った今、DJミックスを商業ベースでリリースすることに意味はあるのか……そんなふうに思っていたけれど、これを聴いて考えを改めました。Moodymann 先生すみませんでした!

ということでアルバム『Moodymann』も素晴らしかったデトロイトの魔人 Moodymann が DJ-Kicks シリーズに登場。いやはや、なんという幅広さ、縦横無尽さか。ソウル・シンガー Yaw のナンバーで幕を開けて、ジャズ、ファンク、ハウス……ともうありとあらゆる方向へ。でも一貫して Moodymann なんだよなあ……。これがDJだ、曲をセレクトしてつないでいくということにこれほどの独創性があるんだっていうことを、まざまざと見せつけてくれる名盤です。終盤の Anne Clark "Our Darkness" が最高に良い。

DJ-Kicks (Moodymann) | Moodymann
‎ムーディーマンの「DJ-Kicks (DJ Mix)」をApple Musicで
MOODYMANN - DJ-KICKS | ele-king

agraph / the shader

ファースト『a day, phases』も、セカンド『equal』も、どちらも日本の電子音楽史に残る大傑作だった牛尾憲輔のソロプロジェクト agraph のサードアルバム! やっと出たよ!

今回はめちゃくちゃ進化していて、先行PVになってる "grayscale" は agraph 節って感じのメロディー満載なんだけど、他の曲はもうほとんど何がメロディーで何がビートで何がベースなのかまったくわからない音の塊みたいなものが空間を包み込んでいく感じというか……なんだろうこれ……音の体験?みたいな、音楽を聴いて楽しむというより、音を軸としたコンテンポラリーアートを体験しているような気分になります。何度聴いても咀嚼しきれない。ラストトラック "inversion/91" がめちゃくちゃ良いです。

[asin:B017VXAAU8:detail]

http://www.beatink.com/Labels/Beat-Records/agraph/
‎agraphの「the shader」をApple Musicで
interview with agraph その“グラフ”は、ミニマル・ミュージックをひらいていく  | アグラフ、牛尾憲輔、電気グルーヴ | ele-king
agraph「the shader」インタビュー - 音楽ナタリー 特集・インタビュー