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From The Inside

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ウディ・アレン『ミッドナイト・イン・パリ』が見せた、美しく矛盾する人間の二重性

movie

“世界一の都”パリ!

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映画「ミッドナイト・イン・パリ」公式サイト|5月26日(土)より、新宿ピカデリー、丸の内ピカデリー、Bunkamuraル・シネマ、TOHOシネマズ 六本木ヒルズ他全国ロードショー!

2012年アカデミー賞の最優秀脚本賞とゴールデン・グローブ賞の最優秀脚本賞を受賞し、自身の史上最高の興行成績を達成、ウディ・アレン史上最高傑作と呼ばれている本作がようやく日本でも公開されました。もちろん初日に観てきましたよ!

ウディ・アレンといえばニューヨークですが、今回の舞台はパリ。もうパリの情景が美しすぎて、それだけで幸せな気持ちになれます。パリ愛にあふれすぎ。

アレンを彷彿とさせるハリウッドの売れっ子映画脚本家ギルは、都会的な美女イネズと婚前旅行でパリへ。代わり映えの無い脚本家人生に飽き飽きし、1920年代のパリに憧れ、パリで小説家として生きていきたいと感じていたギルはある夜、古めかしいプジョーに出会い、そのまま社交パーティーへ。中心でピアノを弾いて歌っているのはコール・ポーター、パーティーの主催者はジャン・コクトー、知り合った夫婦はスコット&ゼルダ・フィッツジェラルド……。かくして夜な夜な1920年代のパリへとタイムスリップしてしまい、ギルは不可思議な夜に翻弄されます。

もうとにかく、登場する方々が完璧すぎる。特にアーネスト・ヘミングウェイとガートルード・スタインが良い。あとダリ。ダリ! こうして考えると、たしかに1920年代のパリはオールスターすぎて困る。

映画『ミッドナイト・イン・パリ』予告編 - YouTube

ジルはパリが最も輝いていたのは1920年代だと考えており、舞い上がって彼らと交流を重ねながら、スタインに自らの小説を見てもらいます。しかしスタインの元にいたパブロ・ピカソの愛人アドリアナは、ベル・エポックの時代こそが至高だと目を輝かせます。そうして今度は、2人でベル・エポックの時代へとタイムスリップ。そこで出会ったロートレックやゴーギャン、ドガはルネサンス期の輝かしさを語るのでした。なんという不毛。かつてあった栄光!

アドリアナは1920年代を捨ててベル・エポックを選びますが、二重のタイムスリップを経て過去の栄光の無限性に気付いたギルは現代に戻ることを決意します。しかしギルは一方で、ハリウッドではなく、パリを選びます。ここではないどこかの不毛さを理解し踵を返す一方で、ここではないどこかに居着いてしまう……この二重性が、人間としての矛盾した欲求を美しく表しているようで、僕はラストシーンがたまらなく好きになってしまいました。

ひとつひとつのセリフにはアレン節が爆発し、歴史上の偉大なヒーローたちはとてつもない人間くささを披露し……と、笑い転げながら観られる極上のフィルムだと思います。そう、多分、これが映画なんです。ぜひ観るべき。

それにしてもここにきてこんな映画を撮れてしまうアレンは本当にすごい。2012年秋には『You Will Meet a Tall Dark Stranger(恋のロンドン狂騒曲)』が、2013年には『To Rome with Love』が日本で公開予定です。楽しみですね!