漫画です。
- 平方イコルスン / スペシャル (4)
- いしいひさいち / ROCA 吉川ロカ ストーリーライブ
- 柳本光晴 / 龍と苺 (7)-(10)
- とよ田みのる / これ描いて死ね (1)(2)
- 松本大洋 / 東京ヒゴロ (2)
- 阿部共実 / 潮が舞い子が舞い (7)(8)
- 業務用餅、六志麻あさ、kisui / 追放されたチート付与魔術師は気ままなセカンドライフを謳歌する。~俺は武器だけじゃなく、あらゆるものに『強化ポイント』を付与できるし、俺の意思でいつでも効果を解除できるけど、残った人たち大丈夫?~ (1)-(3)
- 堀北カモメ / ゲモノが通す (1)(2)
- ガンプ / 断腸亭にちじょう (1)
- 近藤信輔 / 忍者と極道 (8)-(10)
- ビュー / レッツゴー怪奇組 (2)(3)
- 渡辺電機(株) / 父娘ぐらし 55歳独身マンガ家が8歳の娘の父親になる話
- 和山やま / 女の園の星 (3)
- 涼川りん / あそびあそばせ (13)-(15)
平方イコルスン / スペシャル (4)
トーチwebにて8年という長期連載の末に完結。風変わりな主人公とクラスメートたちを見つめる狂言回しの普通の少女、といった日常マンガ的な文法からスタートしつつ、膨大な行間と類いまれなる台詞回しで少しずつ不穏さをばら撒いていき、信じられない場所に着地した大傑作。
終わり方は本当に賛否両論ありますが、僕は圧倒的に好きです。阿佐ヶ谷ロフトAでの完結記念トークライブを配信で見ましたが、この終わり方は当初からの予定通りだったそうで、よくここまで持ってきたなと思います。
スペシャルな誰かとの日々の美しさ。槍が振っても終わらない世界。
いしいひさいち / ROCA 吉川ロカ ストーリーライブ
朝日新聞朝刊の4コママンガ『ののちゃん』にて時折挟まれていた、ファド歌手を目指す少女・吉川ロカと、その友人の柴島美乃の物語を整理し、同人誌『ドーナツボックス』に掲載した分や描き下ろしも含めて一冊にした自費出版の同人誌。
当然といえば当然なのだがめちゃくちゃマンガが上手く、新聞4コマからこの物語が組み上げられていってしまうのは衝撃という他ない(しかも、曲がりなりにも元は朝日新聞掲載なのに、どこの出版社も手を上げずに自費出版!)。小気味良いギャグと、爽やかな感動、そして「サウダージ」なラスト。絵の圧倒的な上手さも含めて、マンガって素晴らしいなと感じざるを得ません。
良い音楽マンガは紙面から音が聞こえてくるものですが、本作も例に漏れず。『THE BEST MANGA 2023 このマンガを読め!』1位。本は、いしいひさいち先生の公式サイト「(笑)いしい商店」で買えます。
柳本光晴 / 龍と苺 (7)-(10)
将棋ものはフィクションが現実によく負けてしまいますが、これは一応まだフィクションが勝ってそうです。女子中学生・相田苺がアマのままプロ棋士に勝ち進んでいく将棋マンガ。
前作「響」と同様に天才とその周りの人たちという描き方の上手さは変わらないのですが、本作では対戦相手の棋士たちのキャラ立ちが格段に向上しており、また、竜王戦のトーナメントに入って以降は特に「苺が勝つ説得力」が毎回ちゃんと示されているのが非常に上手く、面白いポイントです。毎回、次は負けるだろ……と作中で言われてるし、読んでる側も(マンガ的には勝つ気もするが勝ちようがなくない?)ってなってます。
あと、響より苺の方が人間的に成長していっている感じがあって良い。筆者、この辺のチューニングも上手いと思う。
とよ田みのる / これ描いて死ね (1)(2)
とよ田みのる先生が天才であることは異論がないと思うのですが、マンガを描く少女の話をついにやってしまったか……となるやつです。クリエイターものです。
先生が伝説の漫画家であるところも良い。というか先生の若き頃の番外編が死ぬほど面白い。創作で人を殺す、みたいなやつ、とても好き。おっさんは枯れてしまったので……。『このマンガがすごい!2023』オトコ編6位。
松本大洋 / 東京ヒゴロ (2)
マンガ編集者が退職後にやっぱりマンガ雑誌を作りたいですよ、と作家を尋ね回るやつ2巻。なんかマンガものが続いたね。あんまり言うことはなし。ひたすらにマンガが上手い。僕は編集者の端くれみたいなところがあるのだが、ここまでできるかというと分からんな、という気持ちになります。
『THE BEST MANGA 2022 このマンガを読め!』1位、『THE BEST MANGA 2023 このマンガを読め!』5位、『このマンガがすごい!2022』オトコ編5位。
阿部共実 / 潮が舞い子が舞い (7)(8)
僕は阿部共実ファンなので、毎年良いと言ってる。
もう8巻ですが、8巻のラストがずるすぎてすごい。そうなの? そうなの!?
業務用餅、六志麻あさ、kisui / 追放されたチート付与魔術師は気ままなセカンドライフを謳歌する。~俺は武器だけじゃなく、あらゆるものに『強化ポイント』を付与できるし、俺の意思でいつでも効果を解除できるけど、残った人たち大丈夫?~ (1)-(3)
同名の追放系小説のコミカライズだが、原作にはほぼ存在しないエピソードと描写で作られた違う何かになってしまった怪作。伝説の「サブマシンガン!?」は3巻に収録されています。
台詞回しと絵の異常さ含めすべてが狂っていているように見えるけど、実際はかなり絵もマンガも上手い気がしてきて、業務用餅、いったい何者なんだ……?となっています。
堀北カモメ / ゲモノが通す (1)(2)
元・補修職人の筆者が描く補修職人バトルマンガ。差別問題などにも踏み込んだかなり真っ当なハードコア作品。どこまでこの勢いが保てるか心配なところもあるけど、とりあえず現状、めちゃくちゃ面白いです。
ガンプ / 断腸亭にちじょう (1)
大腸がん闘病記マンガ。僕は両親ともにがんで亡くしているので(父は数年前、母は今年)、他人事としては読めないのでした。夫婦の淡々とした描写がとても良い。
近藤信輔 / 忍者と極道 (8)-(10)
忍者と極道が殺し合うマンガ。毎年良いって言ってる。
割れた子供達(グラス・チルドレン)編が完結。ガムテと総理大臣のエピソードは本作でも最高のものになったと思います。
渡辺電機(株) / 父娘ぐらし 55歳独身マンガ家が8歳の娘の父親になる話
僕も今年、父になったので……。
和山やま / 女の園の星 (3)
「ナンのおかわりいかがですかー!!」と「発光するスイッチだった、なんだこのイルカ……」で死ぬほど笑った。
『このマンガがすごい!2021』オンナ編1位、『このマンガがすごい!2022』オンナ編5位。
涼川りん / あそびあそばせ (13)-(15)
これは3冊全部書影のっけます。完結おつかれさまでした。
当初のあそ研中心の変顔コメディから、最終的に新聞部・美術部の上級生たちのダウナーコメディになりましたが、後者の話も好きでした。方向転換後ももう少し読んでいたかったなとも思いますが、次回作も期待しています。
◇◇◇
過去の良かった漫画は以下。いま気付いたけど、去年は書いてなかったんですね。昔はめちゃくちゃ気合いを入れて読んで書いていたのが分かる。
- 2011年:2011 Best Comics - From The Inside
- 2012年:2012 Best Comic Top10 - From The Inside
- 2013年:2013年、漫画ベスト30 - From The Inside
- 2014年:2014年、漫画ベスト50 - From The Inside
- 2015年:2015年、漫画ベスト50 - From The Inside
- 2016年:漫画トロピーク『このマンガガガガ vol.5』に収録
- 2017年:漫画トロピーク『このマンガガガガ vol.7』に収録
- 2018年:漫画トロピーク『このマンガガガガ vol.9』に収録
- 2019年:漫画トロピーク『このマンガガガガ vol.11』に収録
- 2020年:2020年の良かった漫画 - From The Inside
- 2021年:なし