施川ユウキ『バーナード嬢曰く。』ご存じ名著礼賛ギャグマンガ、2巻は神林のデレという新たな魅力が加わり必読っぷりに磨きがかかる

『サナギさん』や『オンノジ』といった名作を手掛ける施川ユウキ先生の名著礼賛マンガ『バーナード嬢曰く。』2巻が出ました。2巻! 1巻で終わりじゃなかったの!

図書室で本を読んでいる風の姿を人に見せ「自分を読書家キャラに見せようとしている」主人公・町田さわ子を中心にして展開されるギャグマンガである本作は、連載当初はいろいろな人の「名言」を取り扱う名言マンガだったのですが、名言だけだとネタが続かないということで早々に「本と読書にまつわるギャグマンガ」となりました。

さわ子を見続ける少年・遠藤君、そんな彼に想いを寄せる図書委員でシャーロキアンの長谷川スミカ、そして「読書家キャラを演じるさわ子」に怒りを向けるガチの読書家(特にSF好き)の神林しおり。さわ子を含む以上4人で展開される図書室内での会話劇は、ありとあらゆる実在の名著をテーマに展開されます。施川流の会話ギャグが読書あるあるネタと重なりあっており、本好きはもちろん、決して読書家ではない人(私とか)でも充分に楽しめる作品です。

たしかに夢野久作と竹久夢二は似てる(使われている漢字が)。

さて、そんなド嬢の2巻です。施川流絶品ギャグマンガであり、名著礼賛マンガであり、読書あるあるマンガであるこの作品に、新たな魅力が加わってしまいました。

この怒ってる女の子は神林しおり。初登場から読書家を装う町田さわ子に怒っていました。読書家です。

そんな神林が2巻でどんどんデレてくるんだよ

アッアッ。

アアー。

そう。2巻は恐ろしいことに、要所要所でこんな感じで神林しおりがデレるのである。というか神林はさわ子が明らかに好きすぎるのである。さわ子が天然の人たらしすぎるというのもあるのですが、そんなさわ子に熱く好きな本について語って引かれる神林、それでも神林の勧めた本を読むさわ子、アアーッ。仲良すぎだろ……。1巻では遠藤君がさわ子に想いを寄せているみたいな感じの終わり方だったのにいつの間にこんなことに!?

まあこれもひとつのスパイスということで、2巻でも相変わらず、村上春樹『1Q84』、ハーマン・メルヴィル『白鯨』、テッド・チャン『あなたの人生の物語』、レイ・ブラッドベリ『華氏451度』、伊藤計劃『虐殺機関』、カミュ『異邦人』などなどの名著から、『オシムの言葉』に『さまぁ〜ずの悲しいダジャレ』に、果ては水島ヒロ『KAGEROU』まで、多岐にわたる著書をテーマにくだらない会話ギャグが繰り広げられ、笑いながら名著を読んだ気になれるので最高にお得です。施川先生は天才。

3巻も楽しみですね(積ん読状態になっている本の山から目を背けながら)。