幾原邦彦『輪るピングドラム』と、1995年の呪いsideA

きっと何者にもなれないお前たちに告げる。

輪るピングドラム

昨年末に最終回を迎えたアニメ『輪るピングドラム』、ニコニコ動画でも最終回が配信されたので、記念に何かしらの文章を残しておこうと思います。

といっても、もはや語り尽くされている気がしますし、そもそも改めて最終回を見たらしつこいくらいに同じことを言い続けていたので、まあ見てない人は見ると良いと思います。ちなみに最終回はテレビ放映時に見ながら号泣して、さっきニコニコ動画で久しぶりに最終回を見てやっぱりボロ泣きしました。

1990年代の話をします。革命は失敗に終わりました。世界は終わらなくて、僕たちはみんな透明になっていきました。1990年代を生きたならば、これだけで通じるはずです。世界は砂を噛むような人生しか許さず、僕らは絶対に幸せになれないし、きっと何者にもなれないということだけが分かっていたのです。

作中で、登場人物たちは言います。「見つけてくれて、ありがとう」「運命の果実を、一緒に食べよう」。世界を革命しなくても良かった。ただ僕らは誰かを見つけて、林檎を分けあえば良かったのだと。「君たちは絶対に幸せになれない」。そうですね。きっとそうなんです。だからこそ、この物語は、1990年代の絶望を生きた僕たちへの福音となり得たのです。

素晴らしいお話でした。

輪るピングドラム - ニコニコチャンネル