2011 Best Comics

2011年も素晴らしいマンガがたくさん出ましたね!

■ 1位

▽ いがらしみきお『 I 』

「THE BEST MANGA 2012 このマンガを読め!」でも1位を獲得した本作が文句なしのトップ。『ぼのぼの』のいがらしみきおが放つ、「あるから見える」ではなく、「見ればそうなる」という世の理を描いた衝撃的な作品です。東北にて、生と死を、人と神を全力で表現せんとする様は畏怖の念すら覚えます。2011年現在、最も先が気になる、最も素晴らしいマンガ作品。読め。

http://www.amazon.co.jp/gp/product/4091885551
http://www.ikki-para.com/comix/i.html
いがらしみきお『I[アイ]』小学館:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ
「このマンガを読め!」1位はいがらしみきお「I【アイ】」 - コミックナタリー

■ 2位

▽ 石黒正数『外天楼』

「メフィスト」に連載された短編連作を1冊にまとめた、石黒正数のSF/ミステリーマンガ家としての才能が120%発揮された今年最大のサプライズ。まどマギの新房昭之監督をはじめ、各所で大絶賛されたのは記憶に新しいですね。3年かけた連載で見事に伏線を回収していく手際は、1冊にまとめて一気に読むことで、そのすごさをより実感できるでしょう。「マンガ」の持つエンターテインメント性を今年最も強く感じた作品です。読むべき。

http://www.amazon.co.jp/gp/product/4063761592
http://kc.kodansha.co.jp/content/top.php/1000005726
石黒正数最新作『外天楼』は「エロ本探し」の探偵ごっこなのか? 新房監督、アニメ化頼む! - エキサイトニュース
「外天楼」の感想:ヤマカムセカンド
石黒正数『外天楼』がスゴイというので読んだら本当に面白かった話 - From The Inside

■ 3位

▽ しりあがり寿『あの日からのマンガ』

忘れ得ぬ3.11を誰よりも早く描き出した天才・しりあがり寿の渾身の1冊。朝日新聞夕刊連載の4コマ『地球防衛家のヒトビト』でコミカルかつシニカルに3.11後の日本を見つめ、「海辺の村」「川下り双子のオヤジ」といった作品で「その向こう側」の日本を描写する。何よりも衝撃なのは、今年最も多くの日本人が恐れ憎んだ「あの物質たち」を擬人化した「希望×」ですね。読みましょう。

http://www.amazon.co.jp/gp/product/4047274747
「正直、自分が受けたショックの100分の1も描けていない」しりあがり寿が見た3.11とマンガの可能性|日刊サイゾー

■ 4位

▽ シギサワカヤ『さよならさよなら、またあした』

ああ、シギサワカヤが好きなように描くと、こんなにとんでもないものが飛び出すのか! 「ノストラダムス」と「余命宣告」が生んだ有限の世界で、1人の女性が周りの人間を巻き込みながら全力で人生を楽しむまでを詰め込んだ、とてもとてもハッピーな作品です。ハッピーな作品です! ラストシーンのインパクトという点では今年の最大瞬間風速を記録しました。そう、ラストの彼女はとても美しい。読んでください。

http://www.amazon.co.jp/gp/product/4403621295
さよならさよなら、また明日/シギサワカヤ
シギサワカヤ『さよならさよなら、またあした』が描く幸せな日々に涙をこぼす - From The Inside

■ 5位

▽ とよ田みのる『友達100人できるかな』

ついに完結! 宇宙人に連れられて過去へタイムスリップ、小学生に戻った主人公に宇宙人は言う。「友達ヲ100人作って頂きマス」「出来ナかったラ人類滅亡」……。100人までやるのかなーと思ったら、最後はかなり裏技ちっくに締めてきました。クラスメートたちも、道明寺さんも、宇宙議会の人たちも、みんなみんな素晴らしい。「友達になってよ」と言葉を伝えたら、もう友達なのです。果たして地球に愛はあったのか? 読むと良いと思います。

http://www.amazon.co.jp/gp/product/4063107469
http://zelkova777.blog115.fc2.com/blog-entry-138.html
「友達100人できるかな」完結:ヤマカムセカンド

■ 6位

▽ 久慈光久『狼の口』

これまで延々、関所の鬼畜代官が魅力的なキャラクターたちを惨殺し続けてきた『狼の口』ですが、いよいよ森林同盟の逆襲のターンですよ。ヴァルターとヒルデの素晴らしい戦いっぷりが本作のハイライト。世界の理不尽さを理不尽であるがままに表現し、それでもなお抗い続ける人々の美しさを引き立たせる見事な展開だと思います。ただこのまま代官が指を咥えているわけがないので、次はまた鬼畜展開なんだろうなあ……と昏い期待をしてしまいます。読んでもいいのよ。

http://www.amazon.co.jp/gp/product/4047276308
久慈光久『狼の口』が凄惨すぎるけど逆襲のターンが来そうなので燃える - From The Inside

■ 7位

▽ 柳原望『高杉さん家のおべんとう』

だから家族ものに弱いんだって言ったじゃないですかー。近年は「急に女の子の面倒を見ることになった男の疑似家族もの」作品が増えてきましたが、そこに「食事」と「場所」という要素を組み合わせたのが本作。家族っていいよなあ……。昔から疑似家族ものに弱い身としては3巻から4巻にかけての展開は反則です。僕も娘が欲しいです。お好きな方は読んでみては。

http://www.amazon.co.jp/gp/product/4840137447
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4840140405
高杉さん家のおべんとう : 淡々 (マンガソムリエ廃業編)

■ 8位

▽ 花沢健吾『アイアムアヒーロー』

相変わらず卑怯なまでの展開を続ける「我是英雄」こと本作。最近勢いが落ちてきた? いやいや何を言いますか、現役で最重要マンガ作品街道をばく進中でしょう。今年刊行された6巻と7巻は「アウトレットモール編」とでも言うべきストーリーで、有事におけるコミュニティの形成と崩壊が生々しく描かれています。毎回テイストの違う表紙も素敵です。それにしてもこれ、どうやって決着をつけるつもりなんでしょうか……。もう読んでますよね、当然。

http://www.amazon.co.jp/gp/product/4091838278
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4091840507

■ 9位

▽ 諫山創『進撃の巨人』

OK、認めよう。やっぱり進撃は面白いですよ。しかも今年刊行された4巻から6巻は、初期の「絶望的な巨人にどう対抗するか」から「やったーエレンも巨人になって巨人バトルだー」になって「えー」という気持ちになった読者の感情を揺さぶるかのように、単なる巨人バトルではない何ものかへと展開していきます。絵が下手? 展開が分かりづらい? 知ったことか! いま最も面白い「戦争もの」であることは疑いようがないのです、多分。途中で切った人も読んでみてはいかがでしょうか。

http://www.amazon.co.jp/gp/product/4063844692
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4063845133
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■ 10位

▽ 西炯子『姉の結婚』

自爆アラフォー女性かわいいマンガこと『姉の結婚』。良い大人が殻をかぶってお互いに自爆するようなコミュニケーションを重ねていくという極めて痛いお話であり、痛い人を見ているのが楽しいという腐った人種である僕は大変楽しく読んでいます。いくつになっても人は人が怖くて、コミュニケーションはうまくいかないんだよ、というところが何よりの救いです。うまくいかなくてもいいんだよー。読んでみたら楽しいかもしれません。

http://www.amazon.co.jp/gp/product/4091338097
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4091341136
http://p.booklog.jp/book/30037
西炯子『姉の結婚』は、うまくいかなくて自爆するアラフォー女性かわいいマンガである - From The Inside

■ 番外

▽ もぐら『見とこ、行っとこ、トコトコ関西』

都道府県擬人化マンガ「四国四兄弟(うちのトコでは)」で一部でおなじみ、もぐらさんによる関西ツアーマンガ。今年、東京から京都に引っ越した筆者は大変助かりました。京都いいよね。大阪もいいよね。神戸ももっと行きたいな。でも何よりも、もぐらさんの描く「京都さん」が好きなんですよ。いいよね。急に関西へ引っ越すことになった方は読むと楽しいと思います。

http://www.amazon.co.jp/gp/product/453308270X
http://www.h6.dion.ne.jp/~mogura45/o/sikoku/top.htm