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荻窪の本屋さん「Title」、散歩の達人、二週間の休暇、日常の椅子

荻窪の本屋さん「Title」に行ってきた話を中心とした日記です。

初台fuzkue、カフェ・マリア・テレジア、松沢呉一『闇の女たち』

初台に行く用事があり、fuzkueという面白いお店に入った話をします。

青春の一冊、原田宗典『スメル男』

原田宗典という作家がいます。たしか中学生のころ『スメル男』を読んでびっくりした記憶があります。最初は「スルメ男」だとばかり思っていたという、あるあるのやつです。

谷崎潤一郎『春琴抄』

この記事は、#読み終わった本リスト Advent Calendar 2015 の17日目です。

平坂読『僕は友達が少ない』11巻。完結。いくつもの間違いを抱えて、人生は続いていく

僕は友達が少ない (11) (MF文庫J)作者:平坂読KADOKAWA/メディアファクトリーAmazon1冊丸ごとエピローグです。おつかれさまでした! 淡々と紡がれる最後の1年 『僕は友達が少ない』という小説は、細かな章=エピソードを1冊の中に大量に詰め込むという形式で…

正しくあろうとした末に、正しくなくなってしまうことを肯定する。平坂読『僕は友達が少ない』10巻が描いた世界観

10巻です。事実上の8.5巻であった「CONNECT」を含めると11冊目。終わりが見えてきました。9巻時に、こんなことを書きました。平坂読『僕は友達が少ない』9巻の激烈な面白さ、あるいは「はがない」のこれまでとこれから - From The Insideある意味「僕は友達…

2013年、小説ベスト10

読書はすれど、いわゆる「小説」を読まなくなって何年か過ごしましたが、2013年は小説熱が少し復活してきたので、まとめます。来年はもっと読みたいですね。

虚実が逆転する「読むアシッド・ハウス」——天久聖一『少し不思議。』

僕の青春は天久聖一と共にあったといっても過言ではありません。「バカドリル」に「ブッチュくん」、はたまた「バカサイ」、そして「モテたくて…」。そんな天久氏(元祖あまちゃん)の小説『少し不思議。』は、漫画家・天久聖一の持ち味をそのまま文章に落と…

終わりのない後悔の旅。桜木紫乃『無垢の領域』

無垢の領域作者:桜木 紫乃新潮社Amazon『ホテルローヤル』で直木賞を受賞した桜木紫乃の受賞後1作目。いつも通り釧路です。「革命児」と呼ばれる図書館長の信輝、筆を持つことしか知らぬ書道家の秋津、秋津の妻の伶子。三者三様の冷たく重い視点がぐるぐると…

平坂読『僕は友達が少ない』9巻の激烈な面白さ、あるいは「はがない」のこれまでとこれから

激烈に面白かった…………!僕は友達が少ない 9 (MF文庫J)作者:平坂 読メディアファクトリーダ・ヴィンチ編集部Amazon一気に読んでしまった。そして叩き付けるようにこの文章を書いている。なので、世の中の評判的に良いのか良くないのかは正直分かりません。た…

桜木紫乃さん直木賞受賞おめでとうございます

おめでとうございます!!!!!!!!!!!!!!!![asin:B00DLQ14RS:detail]ホテルローヤルとても良い本なのですごく嬉しいです。遡るラブホテルと人間の記憶。桜木紫乃『ホテルローヤル』 - From The Insideよく考えると、今年最初に読んだ小説だったなあ。北国のラブ…

文学の自由と不自由。視覚死角刺客詞客始覚四角資格視角。阿部和重『□ しかく』

角貝ササミを蘇らせるには、まずは三六五日以内に、特定の四つのパーツをすべてそろえなければならない。 □ しかく作者:阿部 和重リトル・モアAmazon阿部和重といえば『アメリカの夜』であり『インディヴィジュアル・プロジェクション』であり『鏖』であろう…

或る一つの結末。伏見つかさ『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』完結

これは、あのころのアンダーグラウンド・オタクカルチャーへの、ライトノベル側からのラブレターだ。俺の妹がこんなに可愛いわけがない(12) (電撃文庫)作者:伏見 つかさKADOKAWAAmazon『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』、通称「俺妹」の原作ライトノベル…

村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』/坂上秋成『惜日のアリス』/沙羅とナルナが導く表裏一体の物語

この2つの小説がほぼ同じタイミングで出版されたことに、奇妙な運命を感じずにはいられません。 ■ 村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年作者:村上 春樹Bungeishunju/Tsai Fong BooksAmazon静かな…

芸事に身を捧げ、不自由の美を得る。紅玉いづき『ブランコ乗りのサン=テグジュペリ』

[asin:4041103932:detail:large]紅玉いづきさんの初めてのハードカバー。美しい装丁とタイトル、そして「少女サーカス」というモチーフに魅かれ、前作『サエズリ図書館のワルツさん』が予想以上に良かったこともあり、手に取りました。大災害からの復興を目…

黒田夏子『abさんご』のゆめと記憶

[asin:4163820000:detail:large]第148回芥川賞受賞おめでとうございます。昨年、第24回早稲田文学新人賞を受賞した際、選考委員の蓮實重彦先生は選評でこうおっしゃられておりました。 「abさんご」は、あくまで横書きで書かれ、あくまで横書きで読まれるべ…

遡るラブホテルと人間の記憶。桜木紫乃『ホテルローヤル』

ホテルローヤル作者:桜木 紫乃集英社Amazon『ラブレス』の桜木紫乃の新刊。湿原を背に建つ北国のラブホテル「ホテルローヤル」にまつわる人間の連作モノです。でも最初のお話「シャッターチャンス」でいきなり廃墟になっています。なにそれこわい。そこから…

パナヒ、アシュラ、園子温、西島大介、とよ田みのる、柳原望、クノー、池田亮司

最近見聞きしたもの、書く暇がなかったのでまとめておきます。 ■ ジャファール・パナヒ『これは映画ではない』 ▽ eigadewanai.com反体制活動により「20年間の映画製作禁止」を命じられたイランの映画監督ジャファール・パナヒが、友人の映画監督を自宅に呼ん…