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From The Inside

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なんて、きれいな夕焼け――植芝理一『謎の彼女X』完結

謎の彼女X(12)<完> (アフタヌーンKC)

謎の彼女X(12)<完> (アフタヌーンKC)

謎の彼女X、最終巻。

植芝理一作品は『ディスコミュニケーション』も『夢使い』も大好きなんだけど、これは植芝先生の病的な部分、フェティシズム過多の部分がだいぶ中和されてて、でもたまにやっぱり漏れ出ていて、独特のバランスの中で10年間の連載が続いた不思議な作品になったと思います。「よだれがつなぐ絆」なんていう突飛な設定で、よくぞここまで……と驚きを禁じ得ません。

ディスコミにも夢使いにもある不思議なノスタルジーが、この最終巻にはふんだんに詰まっています。この作品にはスマホはおろかケータイすら出てきません。ただただ、学校の帰り道、夕陽の見える丘で、日課を交わす2人が描かれます(ちなみにこの丘は、夢使いの終盤、鉱物の聖母編ラストの丘そっくりです)。

最終話は、大きな大きな夕陽で幕を閉じます。植芝先生はそういう、大きなものを描くのが本当にうまい。あまりにもきれいな夕焼けに、なぜか涙が出そうになります。ラストの見開き2連打は見事。ついでにカバー下も見事。

不思議と、最終話を読みながら、アニメ版の声優である吉谷彩子さんが声を当てているように錯覚しました。やっぱりハマり役だったのだなあと改めて感じます。

10年間、お疲れさまでした。次回作も期待しています。