Aphex Twinに対する思い入れは別に強くない。テクノを聴き始めた中学生のころはそりゃあ「Girl/Boy Song」に感動したし「Windowlicker」は大好きだし「Xtal」はテクノ史に残る名曲だと思っています。でもまあそのくらい。Drukqsはマトモに聴いてない。
さて、13年ぶりのニューアルバム、Syroです。いろいろと話題になった発表から発売まで、出てしまえばあっけなく出たなという感じだけど、冷静に考えると「うおおAphexのニューアルバムか……」みたいな気持ちになる。不思議ですね。めちゃくちゃシンプルなジャケすごい好みです。黄色良い。
初めて聴いたとき、本当に、驚くほどサラっと聴けたんですよね。ああー、Warpの音だなー、Aphexだなー、と。初めて聴くけど懐かしさを感じました。それからもう何度も聴いてるけど、毎回、懐かしいなーと思う一方で、あれこんな音あったっけみたいに、初めて聴くような感覚に陥ります。なんだろうなこれ。不思議な1枚。あと音が良いよ。
聴いてて疲れない。踊れるけどゆったりもできる。アルバム後半はドラムンベースっぽさもあるんだけど、全体としてやっぱりベッドルームです。おかしいんだけど、無駄に奇行っぽさを狙っているところがなくて、びっくりするくらい素直。これは良いエレクトロニック・ディスクだと思います。「Aphex Twinだぞ!」みたいなのはもう必要ないんだよね、きっと。
1曲目「minipops 67 [120.2][source field mix]」がカッコいいのと、2曲目「XMAS_EVET10 [120][thanaton3 mix]」がすごくキレイで良い。4曲目「4 bit 9d api+e+6 [126.26]」もキレイで、懐かしくて、ビートはしっかりマシーン・エレクトロで、うわーあのころの自由なテクノだーみたいな気持ちになれてオススメ。10曲目「PAPAT4 [155][pineal mix]」はアホっぽくて楽しげドラムンベースで可愛い。ラストの「aisatsana [102]」はなんとピアノ・ソロによるアンビエントで、これがめちゃくちゃ良い。というかこれがこのアルバムで一番良い。泣ける。
Aphex Twinがどうとかこうとかはどうでもよくて、普通に聴いてほしい。ほんと、良いよこれ。良い。
http://jp.residentadvisor.net/review-view.aspx?id=15764
RAのレビューでは満点(!)です。「おそらく今年のベスト・アルバムとなることだろう。しかし、そんなことは付随要素でしかない。今年、昨年、一昨年と、本作はどの年の音楽とも似ていないのだ」ってすごい表現。
野田努さんもベタ褒め状態。「20年ぶりにケレンミのない、まとまりの良いアルバムになったと言えるだろう」という評はよく分かります。
こちらは野田努さんと三田格さんというおなじみコンビによる対談……というかAphex Twin思い出語り。三田さんの「2、3回聴いて思ったのは、これはダンサブルな『Selected Ambient Works 85-92』だなと。第1期エイフェックス・ツインに戻ったけれど、当時のような無邪気さだけではなく、大人っぽいところもあって」という言葉がしっくりきますね。
Aphex大好き西島大介。