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職人の技術と哲学を受け継ぐために。デヴィッド・ゲルブ『二郎は鮨の夢を見る』

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二郎は鮨の夢を見る

引っ越しのドタバタが終わったら真っ先に見ようと思っていた映画『二郎は鮨の夢を見る』、ようやく見てきました。

本作は、東京・銀座の地下にあるお鮨屋さんの名店「すきやばし次郎」初代店主、小野二郎さんを中心に撮影されたドキュメンタリーです。監督はアメリカ人。つまりこの映画では「外から見た日本の鮨職人の姿」を見ることができます。

すきやばし次郎のことは知っていたものの、残念ながら実際に食べにいったことはありません(何しろメニューはおまかせコース3万円から、のみ!)。そんな僕がこの映画を見るということは、もはや苦行に近いものがありました。スクリーンの向こう側で次々と映し出されていく鮨たち! うおおそれを食わせろー!

映画『二郎は鮨の夢を見る』予告編 - YouTube

6年連続ミシュラン三ツ星、世界最高齢の三ツ星シェフである鮨職人、二郎。本作では彼の技術と哲学から始まり、2人の息子との関係性という領域へと踏み込んでいきます。本店の現在の店主である長男・禎一と、六本木ヒルズ店の店主である次男・隆士。偉大すぎる父は85歳にしてなお板場に立つ。息子はそれをいかに受け継ぎ、越えなければならないか。次第に本作は鮨を通じた、職人の技術を継承することの困難さという問題をあぶり出します。

すきやばし次郎本店のメンバーを見ていると、職人が組織を作り、技術と哲学を継承していくということがどういうことなのか、そのヒントが見えてきます。すでに二郎は自分で仕込みをすることはなく、握るだけです。ミシュラン三ツ星の初年度では、鮨を握ったのは長男・禎一であったとすら言います。「楽をさせてもらってる。一番、得をしている」と二郎は笑います。でも、それは重要なことです。自分ひとりの手で生み出したものを、継承していくためにはどうすればよいか。鮨の夢を受け継ぐことは可能なのか。シビれます。メトロポリタン・オペラの総帥という偉大な父をもつデヴィッド・ゲルブ監督が、鮨の向こう側に自らを重ねたことは想像に難くありません。

常に「もっと良いもの」を目指そうとする彼らの姿は、我々の「仕事」に対する姿勢を律してくれます。良い仕事をしましょう。そして、鮨を食べましょう。だから誰か、すきやばし次郎に連れていってください(でも本店に行ったら緊張してしまいそうです)。

銀座 すきやばし次郎 本店 鮨 - すきやばし次郎 SUKIYABASHI JIRO