From The Inside

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大阪CIRCUSで田中フミヤを堪能してきた話、あるいは「朝まで踊ること」の思い出語り

大阪アメリカ村に「CIRCUS」という新しいクラブがプレオープンしたとのことで、遊びにいってきました。

CLUB CIRCUS, Osaka

かつて大阪を中心に活動し、今はベルリンに拠点を移している田中フミヤが回すというので、プレオープニングパーティー明けの6月9日にお邪魔しました。田中フミヤは僕が最も好きなDJの1人です。ひとつひとつの音の粒や音域を意識して、フロアに呼応するようにレコードをつないでいく姿は職人的ですらあります。ミニマルなんだけど心地よい、いつまでも踊っていられそうな空間を作れる、数少ないDJだと思います。

この日は21時前に入ったのですが、ちょうどフミヤが回し始めるころでした。まだ新しい箱のせいか最初は客もまばらでしたが(フミヤなのに!)、22時ごろにはだいぶお客さんが入り、盛り上がりました。

小箱ですが、音も雰囲気も悪くないし、割と好みのお店でした。7月にグランドオープンとのことですが、6月中もBen KlockやEllen Allienをブッキングするなど非常にツボをついた感じなので、足しげく通いたいなあと思います。

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Summer of Hate in Osaka

18時オープン、0時クローズ。日によっては1時までやるみたいですね。……本当に、大阪という街で、朝まで踊り続けることができなくなっています。風営法、ここまでこのエントリーを読んでいる人なら、おそらく知っていると思います。

いま、この状況下で、大阪に新しいクラブをオープンするということ。それがどういう意味を持つかだろうか、と終電に揺られながら考えていました。

2011年に京都へ引っ越して、楽しみだったことの1つに、関西のクラブがありました。東京に住んでいても、京都のMETROやWORLD、大阪のJouleの評判は聞き及んでいました。でも引っ越して気付きました。大阪のクラブは、もうほとんど深夜営業していない。METROも少しして0時または1時までばかりになり、WORLDは一時休業に追い込まれました(ちなみにWORLDは風営法ではなく消防法だと言われています)。METROもWORLDもJouleも想像していた通りの素敵なクラブだっただけに、とても悲しい気持ちになりました。

WORLD,KYOTO | FEARLESS〜Masquerade 仮面舞踏会〜

それでも、できる範囲で良いパーティーを作る人たちはいるものです。例えば大阪を中心にパーティーをオーガナイズしているTHE STAR FESTIVALのクルーは、一時期まで大阪のCCO(名村造船所跡地)でいくつものパーティーを開いていました。港の近くの倉庫(ウェアハウス!)を彷彿とさせるロケーションはとても素晴らしく、関西らしい遊び慣れた客層と、完璧なサウンドシステムがマッチして大変ステキだなと思ったものです。でもいつしか、名村造船所跡地も深夜営業ができなくなりました。

CCO クリエイティブセンター大阪

「どうして深夜じゃないとダメなのか」

以下、もやもやしたエモーショナルな文章が続きます。ご注意ください。

以前から風営法の問題は一部で議論が重ねられていましたが、「Let's DANCE」という署名活動が始まり、報道されたことがきっかけで、これまでクラブや風営法に関心のなかった人たちも、ここ数日さまざまな意見や感想をネット上にアップしています。僕のブックマークから、いくつか貼っておきます。風営法けしからんという意見もあれば、Let's DANCEの運動の方法論への「ちょっと違うんじゃないの」みたいな意見もあって、それに対するいろいろな人の反応やコメントもたくさん付いています。

興味深かったことがひとつあります。「どうして深夜じゃないとダメなのか」という問いです。これ、目から鱗というか、そうかそういう疑問が湧くよなそりゃそうだ、と思いました。

僕は深夜じゃないとダメな理由を論理的に言葉で説明する自信がありません。文化的側面からこれをバシッと説明できる人はいると思うんだけど、少なくとも僕には自信がない。今回、思わず真剣に考えてしまいました。なんで深夜じゃないとダメなんだろう。僕はどうしても理由をうまく説明できない。深夜じゃないとダメなんです、としか言いようがない。これでは共感を通じた合意形成は不可能です。もちろん、そもそもとして法律の恣意的な運用が問題なので「深夜じゃないとダメな理由」を説明する必要はないとか、深夜でも問題ないことを証明したり、そこを担保するような制度や法律を通じて妥協点を探れば良いとかいった議論はあり得ます。とはいえ、それにしても深夜じゃないとダメだということ自体は価値表明としてやっておきたい気がします。でも難しい。

実際、クラブで遊ぶ人の中にも「深夜じゃなくても良い」という人もいます。深夜じゃないパーティーに良いものがあるのも事実です。でも無くなったらイヤだなあ、悲しいなあ、と僕は思ってしまうのです。なんかこう、文化を守れーとか、戦うんだーみたいな気持ちというよりも、本当に、お願いだから、迷惑かけないように(騒音問題とかね!)努力すべきだと思うしそういう規制はあってもいいから、お願いだから、お願いだから奪わないでくれ、としか言いようがないのです。

仕方ないので、思い出語りをします。

Tokyo Disco Music All Night Long

初めて「音楽に囲まれて朝まで踊る」ことを体験したのは、高校2年生のときでした。クラブではなく(当時すでに18歳未満は入れないようIDチェックが厳しくなっていました)、WIRE00というテクノフェスです。大袈裟でも何でもなく、人生が変わりました。本当です。ウソじゃないよ。いつしか好きになったテクノミュージックというマイナーな音楽で、1万人近くの人が喜んで、朝まで踊っているという事実は、僕の人生を大きくねじ曲げました。僕はそのようにあってもいいのだ、と肯定された気がしました。ちなみにこの日、KAGAMIという2010年に亡くなった天才テクノアーティストの出世作が一晩に何回もかかりました。大好きな大好きな曲です。「Tokyo Disco Music All Night Long」というタイトルでした。

Tokyo Disco Music All Night Long (Original Mix) by Kagami on Beatport Pro

やがて、クラブへ遊びにいくようになります。別に毎週末のように遊ぶみたいなことはしませんでしたが、遊びにいくときはいつもワクワクしていました。そこは非日常で、お祭りの場だったのです。新宿LIQUIDROOMや青山MANIAC LOVE、代官山AIR、そして渋谷WOMBあたりがお気に入りでした。たくさんの思い出があります。ステキな夜がたくさんです。あの日のあの人のプレイはすごかった。あの日のフロアの雰囲気はヤバかった。あの日にあの人と一緒に遊んだのは楽しかったな……などなど。そしてそれらは、きっと、朝までフロアでドロドロになりながら遊んだからこそ生まれたのだと、僕は信じています。

ターンテーブルとミキサーを買って、DJの真似事もするようになりました。人前で回すことはそんなになかったけれど、DJという行為自体には愛着がありました。レコードの回る速さを調節してピッチを合わせ、ミキサーを通じて曲をつないでいく。音楽は止まらない。何時間も何時間も、反復するビートが鳴り続ける。そうして朝を迎える……。

クラブの何が良いんだろうと聞かれると、僕は「遊び方に多様性があるのが良いんだよね」とよく答えます。ずっとお酒を飲みながらおしゃべりをしている人もいるし、ナンパをしている人もいるし、ソファに座って音楽に耳を傾けている人もいるし、DJブースの近くでプレイを見ている人もいるし、フロアでガンガン踊っている人もいる。自分なりの楽しみ方が許されるというところが、良いところだと思います。僕はひたすら踊り続けるタイプです。同行者にあきれたと言われることもしばし。ごめんなさい……。踊りたくなって1人でガーッと行ってお酒片手にずっとフロアにいる、という遊び方もします。楽しい。

なんかクラブでの楽しげな雰囲気が伝わるビデオがないかなと思ってYouTubeを漁ってみました。いくつか貼ります(すべてアーティストやクラブがアップしたオフィシャルなビデオです)。

思い出語りでした。

おわりに

こんなふうに、素朴に、朝まで踊ることを楽しんでいる人がいるのだということだけ、覚えて帰っていただければ幸いです。ひどくまとまりのない文章で失礼いたしました。Ben Klock楽しみですね!

Ben Klockのジャパンツアーが開催 | クラベリア