植芝理一『謎の彼女X』が遂に世に解き放たれたので胸が熱くなる

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謎の彼女X 8 (アフタヌーンKC) | 植芝 理一 |本 | 通販 | Amazon

植芝理一といえば『ディスコミュニケーション』や『夢使い』……だと思っていたけれど、よく考えると『謎の彼女X』は連載開始してすでに6年、最初の読み切りは8年前なわけで、立派に植芝代表作ですね。月刊アフタヌーンで連載中の本作は、僕のお気に入りの連載中漫画の1つです。

ひょんなことから転校生の少女の「よだれ」を舐めてしまった主人公の少年が、定期的に彼女の「よだれ」を接種しないと禁断症状が出てしまうという「恋の病」にかかってしまい、恋人となってからも「日課」として「よだれ」を接種し続けるという、大変さわやかなボーイ・ミーツ・ガール的恋愛漫画です。あ、説得力ないなこれ。

連載初期は、これまでの植芝作品を引きずったかのようなドロッとした感じの不思議恋愛漫画でしたが、6年も連載していると、最近はすっかり普通の変態恋愛漫画になっているような気がしなくもありません。最新8巻とか完全にバカップルにしか見えないし。それもいいんだけどね。

そんな謎の彼女Xが、アニメ化されてしまいました。正気か!?

謎の彼女X 第1話「謎の彼女」 アニメ/動画 - ニコニコ動画

連載初期の雰囲気がよく出ていて、90年代のアングラ深夜アニメっぽくて良いと思うのですがいかがですか。ダメですかそうですか。ヒロインである卜部役の吉谷彩子さんが素晴らしいですね。キャスト発表後から散々「棒すぎる」と言われ続けていますが、他がしっかり最近のアニメ演技をしている中で、ひとりだけ舞台演劇の世界から紛れ込んでしまったかのような異物感あふれる演技をしてくれており、よく分からない生き物感が炸裂しているという点で、僕は大変満足しています。これはヤバい。

そもそもナゾカノは「男の子にとって女の子とは常に『謎』の存在である」というテーマこそが最も重要であるわけで、まったくもってつかみ所のない卜部像を作り上げてくれたアニメスタッフを僕は賞賛したいと思います。素晴らしい。素晴らしい!

もちろん原作の方も引き続き楽しみにしております。アフタヌーン本誌の方では「文化祭での映画作り」というメタ感バリバリの長編ストーリーに突入しておりまして、どう展開してくれるのか期待です。

なお、主人公である椿くんの変態性にどこまで磨きが掛かるかも期待しております。

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謎の彼女X