とある1人の編集者と「はてな」

このエントリーは「Hatena::Staff Advent Calendar 2011」のために書かれたものです。

こんにちは。id:minesweeper96です。編集者です。

昨年までWebメディアで編集記者をやっておりました(21日目に登場予定のid:stanakaさんを取材したこともありますね、そういえば)。今年3月から、はてなで働いています。それに伴い、東京から京都へ引っ越しました。人生は何が起こるか分かりません。

もうすぐ2011年が終わります。今年1年を振り返って、いち編集者がはてなに入社したらどうだったか、について書きます。

編集者の力

編集者がWebサービス企業に入るというのは、珍しく見えるかもしれませんが、実はそう意外なことでもなかったりします。編集者や記者がサービスやプロダクトの事業者側に移る事例は、割とあります。

じゃあ、編集者って何ができるのでしょう。

以前、はてなダイアリーで、編集者の機能に関するエントリーを書きました。少し引用します。

編集の価値は確実に存在します。生のデータを個々人が加工して受け取るのは負荷がかかるからです。すべての人間がRSSリーダーやブックマーク的集合知を駆使して情報を得られるわけではありません。ただし、注意しなければならないのは「編集の価値」と「編集者の価値」は異なるということです。


要するに、コンテンツの制作や発信が個人でも可能になったのと同様に、編集も個人で可能になったわけです。個人製作コンテンツが増えれば稀少性原理からコンテンツで飯を食える人が減ります(あるいは、1人の実入りが少なくなる可能性が高くなります)。同じように、編集者として飯を食える人は減るでしょう(あるいは、1人の実入りが少なくなる可能性が高くなるでしょう)。

「編集者」という機能について - From The Inside (Old / Hatena Diary)

このときは「結論なんてねえよ」と締めました。いまも結論はありません。ただ、少しずつではありますが、編集者の力は意外といろいろなところで応用が利くのではないか、という気がしてきました。

例えば、編集者は「ペルソナを決めて、その誰かに向けて狙ったコンテンツを投げたり、投げやすい環境を構築したりする。で、当てる」という行動をプロとして行います。これはWebサービスを作ったり運営したりする上で、武器となります。「こういう人が使うと便利」とペルソナを決めると良さげなタイプのサービスであれば編集者を活用できます。コンテンツやコミュニティを生成するタイプのサービスであれば、その方向性をどう設計して、いいコンテンツやコミュニケーションをどう流通させるかというところでやっぱり活用できます。あとは単純に、サービス内で日本語を使っているのであれば、日本語の専門家として役立ちます。エトセトラエトセトラ。

入社して9ヶ月ちょっと経って、その辺りの道筋がほんの少し見えてきました。遅いですねすいません。うっすら見えてきただけで、まだまだすべてを実践するには至っていないので、来年はもっといろいろしたいです。

曲がってみた

インターネットが好きだなあと思いながら学生時代を過ごし、そのままインターネットに極めて近い場所で編集記者として仕事をしていたら、気付けばインターネットのサービスを生み出す場所に来てしまいました。自分でも驚きです。

いざ入ってみて、みんなインターネットが好きすぎて驚きました。「好き」の度合いが異常です。Webで遊ぶスキルが高すぎて、正直ビビります。

サービスについては、「これはこうだからこうすると良いのでは」とか言うと、その内容が正しければ、エンジニアやデザイナーでなくとも受け入れられます。いつもありがとうございます。編集者という人種が混じることで何ができるか、いろいろと試させていただいています。

入る前は不安だらけでした。自分が能力を発揮できる場所はあるのか、サービスを良くする仕事ができるのか、京都の人が余所者に冷たいというのは本当なのか。不安だったけど「えいや」と飛び込んでみました。どうやら、割と良い感じにいけそうです。

2日前にid:onishiさんが「人生の道の曲がり角はいろんなところにありますので、面白そうな方にどんどん飛び込んでいくのがいいのではないでしょうか」と書いていましたが、とりあえず僕は曲がってみたら面白かったので、今のところ正しかったなあとホッとしています。

ということで

Hatena::Staff Advent Calendar 2011、このエントリーが13日目ということで、ついに折り返し地点まで来ました。みんな本気出して書きすぎだと思っているのは僕だけではないはずです。

いよいよ後半戦、明日はスペシャルゲストのid:malaさんです。引き続きお楽しみください。