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From The Inside

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冨田勲『PLANET ZERO』が実現する、暁の合唱が奏でるレクイエム

ああ、なぜあの日、雨は止まなかったのか!

冨田勲 PLANET<ZERO>session with Dawn Chorus 冨田勲 PLANET<ZERO>session with Dawn Chorus
Amazon.co.jp: 冨田勲 : PLANET ZERO~FREEDOMMUNE○ZERO session with DAWN CHORUS - 音楽

日本が世界に誇る電子音楽の祖、冨田勲氏。1970年代にクロード・ドビュッシー『月の光』やグスターヴ・ホルストの『惑星』をシンセサイザーで奏で、世界の度肝を抜いた偉大な人物です。「イサオ・トミタ」に影響を受けた音楽家は数知れず。

2011年6月、『惑星』に新曲「イトカワとはやぶさ」(糸川英夫博士へのレクイエム!)を追加したULTIMATE EDITIONをリリースし、8月には東日本大震災復興野外イベント「FREEDOMMUNE ZERO」に出演……する予定でしたが、残念ながら悪天候でイベントは中止、冨田先生のステージは幻と消えました。本作は、当日行う予定だったステージを再現し、銀盤に収めたものです。

4時30分、夜明けとともに、太陽の黒点から降り注ぐ電磁波の音「ドーン・コーラス(暁の合唱)」と、冨田先生の『惑星』のセッションが行われる……ああ、どうして雨が降ってしまったのでしょう。そんなことを考えながら聴き入りました。これは本当に素晴らしい。本当に素晴らしい!

鳥のさえずりのようなドーン・コーラスとともに「イトカワとはやぶさ」で始まり、あの伝説のリヒャルト・ワーグナー『トリスタンとイゾルデ』の「愛と死」で本間千也氏のトランペットが鳴り響き、新しく生まれ変わった「火星」(低音の鳴りがオリジナルから進化しすぎていて驚愕します)から「金星」「水星」……。有名な「木星」が再びドーン・コーラスに包まれて、そのまま「日の出」「土星」へ。『惑星』の最新バージョンとしても、ひとつひとつの進化した音があまりにも素晴らしすぎて鼻血ものです。

残念ながら筆者はサラウンド再生環境を保有していないのですが、本作のためだけにサラウンド環境を構築しようか本気で検討を始めているところです。きっと、サラウンドで聴かなければ本当の価値は分からないはず。そうして、実現しなかった日の出を夢想し、レクイエムに耳を傾けましょう。世界は理不尽だけれど、こんなにも美しい。

interview with Isao Tomita 音に色を塗る - ele-king Powerd by DOMMUNE | エレキング
冨田勲『PLANET ZERO』インタビュー | ロック&クラブ・ウェブマガジン:iLOUD